「全知」の欲望といくつかのアイデアについて①


・現在、すこし時間ができたため本を読んだりしてのんびり過ごしている。まとまった時間ができるたびに思うことが、「もっと効率的に情報収集をしたい!」というもの。色々な分野に関する最新の知見やニュースを、手軽に収集できるツールやサイトがあったらな、と夢想する。これを僕は勝手に「全知の欲望」と呼んでいる。この世界で起きていることを、すべて、逐一、知りたくなってくる(特に深夜)。しかし、いつも軽い挫折にあってやめてしまう。挫折の内容を書き留め忘れているので、今回はきっちり記録して次回の挫折に備えたいと思う。

 

・そもそも完全な全知は不可能である。知識をどう定義するかにもよるが、いま地球上で起こっていることすべてを、すばやく処理できるコンピューターなどそもそも存在しないにちがいない。そしてコンピューターが存在したとしても、おそらく無数のデータの羅列となるそれをすべて解釈する行為は不可能に終わるだろう。
「これはまあ大体全知でしょう」と納得できるレベルに範囲を縮小しなければならない。私が知りたい情報は、北極にいるクマAが本日何を食べたか、という具体的な情報ではない。むしろ、北極にはクマを研究している人々がおり、彼らが観測したクマの行動に関する論文や報告が読んでみたいのである。基本的には、具体的な情報よりも、具体例をまとめて抽象化した情報が欲しい。

 

・例外として、ある特定のコンテンツに関しては具体的な情報が欲しい場合もある。VTuberやアイドルなど、総称して「タレント」と呼べるコンテンツは、具体的な情報が価値をもつ場合も多い。芸能ニュース(「今日なにを食べたか」などを含む)は、その外側にいる人にとっては全く無価値かつノイズだが、内側にいる人にとっては人生をかけて収集すべき情報にもなりえる。この欲望が犯罪的なまでに高まると、ストーカーということになる。

 

・上では比較的新しい情報について書いたが、過去の情報についても知りたいことは多い。つまり、歴史や歴史的事実に関する情報。これは検索可能であればある程度解決される(それでも情報は膨大だし、程度にもよるが)。問題は検索に引っ掛からないものである。
検索に引っ掛からないものは、記録されているとすれば、当然、紙(書籍・雑誌・etc)であり、記録されていなければ人の記憶を頼るしかない(取材・インタビュー等)。検索・記録・記憶がないものは、不確実ではあるが、推測するしかない。ここまででようやく「歴史」と呼べるものに到達する。

 

・かなり例外的なものとして、セキュリティに関する犯罪により情報を手にすることも全知に含まれる。ストーカーもその一端ではある。そういう意味でも全知は不可能である。

 

・上記のような情報収集を総合的にやっているのが、新聞社やテレビ局だろう。そういった組織について学ぶことで、効率的かつ漏れのない情報収集の参考にできる可能性は高い。
それでも基本的な構造は、誰にでも思い付く方法だろう。①情報の内容を分類する:政治部・経済部・スポーツ部……etc。②分類したものをさらに細分化する:スポーツ部⇒野球・サッカー・陸上……etc。③分類しきった箇所に人員を配置する。
私が作っているTwitterのリストも大体上記のものと同様である。しかし細分化し過ぎるとリスト全体が見えにくくなるため、大雑把な分類にとどまっている。

 

・挫折の原因は色々とあるが、情報の位置が一定でないためサイトやツールを行き来して情報収集をしなければならない、という原因が個人的には大きい。Twitterで十分情報が集まるものはよいが、別サイトにうつって集める場合、かなり面倒に感じる。この認知的コストを軽減するには、何らかのサイトやアプリなどで一元管理できるのが最もよい。
ブログにそういったサイトをまとめ、巡回していたこともあったが、編集や管理のやり方が煩わしく、やめてしまっていた。

 

・一番良いのは人海戦術か、と思ってしまう。これに関しては試していないが、日頃から情報をまめにチェックできるほどコツコツした人が居ないのも確かだ。そしてできるにしてもある程度の時間が必要であるため、一緒にやろうと誘いにくい。
情報収集をひとつのプロジェクトとして運営していく気概がないと、人海戦術はすぐに破綻してしまうだろう。個人の能力や裁量に頼りすぎて負担がかかり、マネジメントが機能しなくなる可能性が高い。

 

・ここまでの思考メモからすると、新聞社やテレビ局のように情報を分類し、人員を配置して、協力しながら情報収集するのがひとつの答えであるように思える。

 

・情報収集に協力してくれる人、情報を一元管理できる方法を知っている人、別アイデアをお持ちの人、ご一報ください。