「VTuberとは何か?」論の整理

(Ver.1.01 更新日:2019/10/09 修正・整理)

 

*本稿は「バーチャルYouTuber(以下、VTuberと略記)とは何か?」という問いに対して、先人たちがどのように答えてきたかをまとめたものです。基本的には、大きいカテゴリーやキーワードを中心にまとめています。他のまとめ方も可能ですが、著者が最もまとめやすい形式を選択しました。

*以下の記述に関して、二点の注意書きを付しておきます。
(1)純粋にひとつのカテゴリーのみで語るのは稀で、関連しやすい話題の組み合わせになっている。
(2)互いに矛盾するキーワードを用いることはあまりない(さすがに説得力がないため。あるとしても、整理しきれず混乱している場合など)。

*これは暫定的なものに過ぎず、改良・更新を続けていきたいと考えておりますので、ご意見・ご感想などお待ちしております。

 

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★第一印象・当事者性

⇒アナロジー[類似物]:主観・偏見・個人的な思い出・フェティシズム

(1)最初にVTuberをみたときの印象

【例】かわいい/**と似ている/キャラクターが非常に不快な動きをしていた

(⇒今までの人生における経験と関連した印象)

(2)VTuberとの関わりの度合い

【例】Twitterでリプを飛ばしたら返事をしてくれた/コメントを読んでくれた/私的なつながり(⇒代わりなどいない、という感覚の強化)

 

①「VTuber」というタグの有無と活動内容

(1)VTuberを名乗っているだけ

【例】**は休止中で、ガワも声も持たず、ツイートなどもしていないが、VTuberと名乗っているので、VTuberといえる。

Ex.「#VTuber準備中」と書いてあるTwitterアカウント・活動休止/引退したVTuberなど

(2)VTuberと名乗っていなくても、活動内容からしVTuberと認めることができる

【例】(2017年ごろ)ポン子はVTuberと名乗ってはいないが、現在のVTuberとほぼ同様の活動をしていたのだから、VTuberといえる。

 (3)VTuberと名乗ってはいるが、活動内容からしVTuberとは認められない

【例】まこと。はVTuberと名乗りながらも、キャラクターのイラストを用いないASMRばかりやるため、VTuberではない。

*(4)VTuberと名乗っていないし、活動内容もVTuberではない

【例】シバターはVTuberと名乗っていないし、メインの動画にアバターを一切用いないため、VTuberではない。
 

②キャラクターのイラスト/3Dモデルの有無・実写映像の有無

⇒アナロジー:人形・着ぐるみ・アバター・仮面[覆面]・匿名性

(1)キャラクターのイラスト・3Dモデルが動画内で使用されており、本人の顔が見えない。

[a]キャラクターが2D

【例】(2017年末・初期)3Dのアバターを用いることがVTuberの条件であって、2DはVTuberとして認められない。

[b]キャラクターが3D

[c]モーションキャプチャの有無

【例】本人の動きの痕跡であるモーションキャプチャがなければVTuberとは言えない。声と動きの主が違うのも認められない。
(2)〃、本人の顔がみえる
【例】犬山たまきは佃煮のりおと共に画面に映ることが多い。(⇒それでもVTuberといえる/いえない)

*(3)キャラクターが動画や配信の中で一切登場しない(⇒VTuberではない?)

[a]顔出ししている

[b]顔出ししていない

 

③実況者・YouTuber・アイドル
【例】VTuberの活動は実質、実況者・YouTuber・アイドルなどと一緒である。

【例】テレビではできないことをやるべき。
(1)YouTuberを重視する立場

【例】
#動画を作るべき(長時間配信はするな)
#「バーチャル」という言葉の意味を考えれば自ずとそうなる
(2)実況者・生主を重視する立場
#リアルタイムであることが重要
(アニメキャラがしゃべっているだけではない)

Ex.生活音などの質感、個人的な会話やコメ拾い、内輪ネタ、ライブに参加する当事者としての立場

(3)アイドルを重視する立場

【例】VTuberはアイドル化してしまい、すっかり衰退してしまった。

 

 ④キャラクター・Role Play
Ex.キャラクターを演じる。「中の人」という考え方[②との親和性・共通点]。
RPの有無(魂がキャラになりきる必要がある、など)
@設定・ルールを決めてそれを厳格に守る
→見た目・設定とは裏腹な、素の部分がちらりとみえる
(#古典的な演劇論との親和性)
★*なりたい自分(になる(ための方法))
自己実現の機会

Ex.最新の技術で作られた着ぐるみ。「ガワを被る・着る」。中に人が入っている(→その人を認めるかどうか[キャラクターの実在性・実在感])

 

 

⑤肉体と魂の二元論・器と魂論争
(ex.月ノの身体探し)
*外見は誰でもかわいくなれるので(差が出ず)魂が重要。魂は代替できない
○匿名性・仮面・ペルソナ:顔出ししたくない
○三元論(三位一体):肉体と魂+α。肉体と魂と視聴者で成り立つ。視聴者との双方向性

 

⑥哲学・心理学・文学のキーワード
*分身・分裂する人格・「私とは何か」・アイデンティティ
*実存・実存哲学
メタフィクション・メタ**:メタ演劇など

 

⑦バーチャルな存在(Virtual Beings?)[最終的な目標として語られる]
・人類が完全にバーチャルになる過程での過渡的なかたち
・現実とは別の生き方(セカンドライフ的なもの)
・現実世界とは隔絶した存在
★「中の人」などいない=ある程度キャラクターの実在性を認める立場
・(人間ではなく)キャラクターが動画のなかでお話ししたり動いたりする
(⇔VTuberは人間である)
(リアルな世界とは繋がりあわず存在しているバーチャル世界)

 

⑧議論を避ける(=議論をする意味はないと考える)場合

●以下、その理由
*どういう存在かを決めるのは本人たちだから
*自分の主張を押し付けたいだけだから
*つべこべ言わずただ楽しむべき
*個人個人の好き嫌いがある(その好き嫌いに最終的には還元される)
*中の人を邪推するなどは野暮ったい
*活動していけば自ずと決まってくるため
*面白ければOKであり、議論を煮詰める必要はない